バルド、偽りの記録と一握りの真実
原題: Bardo False Chronicle Of A Handful Of Truths
監督
出演
- グリセルダ・シチリアニルチア
- ヒメナ・ラマドリッドカミラ
- イケル・サンチェス・ソラーノロレンゾ
- アンドレス・アルメイダマルティン
- マール・カラーラルセロ
あらすじ
有名ドキュメンタリー監督が、過去・現在・メキシコ人としてのアイデンティティと和解するため、サルレアリスムな夢の世界を巡る内省的な旅に出る。…
ネタバレ・あらすじ
果てしなく広がる大地を長く伸びた人影が大きくジャンプして遠くへ跳び、またジャンプして遠くへ跳び、彼方まで進んでいきます。
医師はやっとの思いで取り出した赤ん坊をシルヴェリオとルチアへ見せ、「彼は戻りたいと言っている、この世が嫌みたい」と無理やりルチアの胎内へ押し戻しました。
シルヴェリオは買ったばかりのピンクの小さなサンショウウオ<アホロートル>を抱えて電車に乗っていました。
しかし、気付くと車両は水浸しになり袋から逃げ出したアホロートルは泳いで逃げてしまいます。
シルヴェリオはアメリカで活躍する著名なジャーナリストでドキュメンタリー映画の製作者でもありました。
ところが、本番がはじまると手のひらを返したように非難めいたコメントをはじめる司会者。
しかし、音楽が止まりシルヴェリオにコメントを求める声が出てくると、彼は姿を隠しトイレに逃げ込みます。
ところが、突然通行人たちは次々と倒れていき、たちまち道路は倒れた人で埋め尽くされてしまいます。
山の頂上には16世紀に現在のメキシコを征服したコルテスがいてインディオと白人の優位性を訴えていました。
荷造りの途中でロレンゾから、昔大切に育てていたアホロートルを、渡米の際に袋に入れてスーツケースに忍ばせておいたら袋が破れて死なせてしまったのに、誰にも言えずにいたことを告げられました。
シルヴェリオはロレンゾが悲しい想いをしたこと以上に、彼が誰にも言えなかったことにショックを受けました。
サンタモニカの自宅に着くと、シルヴェリオはひとり出かけロレンゾのためにアホトロールを買って列車に乗り込みました。
「脳梗塞で亡くなった父に代わってスピーチさせていただきます」 シルヴェリオはカミラのそばで見ていました。
シルヴェリオは隣の分娩台で力む妻ルチアを見守っていました。
少しの間だけこの世に産み落とされた男児はマテオと名付けられていました。
果たして夢なのか現実なのか。
あいまいな場面が続いていきます。
この度、彼の作品が権威ある賞を獲り、授賞式の前に故郷メキシコへ帰ってきたのでした。
トークショーに出演するためにテレビ局を訪れたシルヴェリオ。
きらめくセットの中でリハーサルをこなしているステージを通り抜け、控室へとやってきました。
メイク担当者も司会者も久々に会う旧友を誇らしげに迎え入れました。
マイクを向けられたシルヴェリオは全く口を開きませんでした。
友人が集う中、シルヴェリオの受賞を祝うパーティが開かれました。
家族や親せき、友人たちが次々とあいさつに来て、シルヴェリオの受賞を喜びました。
会場はダンスフロアとなり、幸せなひとときを過ごすことができました。
シルヴェリオはそこで、亡き父と会いました。
自身の身体はみるみる小さくなり、子どもの頃、父親を見ていた視点になっていました。
「成功しても決しておごってはいけない。
成功は捨てなさい」父はそう言うと、去っていきました。
街へ出ると、シルヴェリオの目の前には誰もいないゴーストタウンのような景色が広がっていました。
歩き続けると、人が行き交い始めます。
広場に来たシルヴェリオは積み上げられた死体の山を登っていきます。
死体のひとりがタバコの灰で「熱っ!
」と叫ぶと次々に死体は生き返っていきます。
そこは撮影現場のセットの中でした。
幻想的な場面が続くなかで、妙に現実的な場面が登場しました。
家族や友人たちと高級リゾートホテルで楽しむシルヴェリオ。
娘のカミラ、息子ロレンゾ、そして妻ルチアの4人で美しい砂浜までやってきました。
「解放してあげる」 ルチアはそう言い、卵型の容器からマテオを取り出すと海へ放ちました。
生後間もなく亡くなった小さな赤ん坊は波に飲まれながら消えていきました。
末 シルヴェリオ一家はアメリカへと戻ろうとしていきました。
しかし終着駅に着き清掃員が掃除を始めてもシルヴェリオは降りる気配がありません。
すると大切に抱えていた袋が落ち、反動で破れてアホトロールが床を這って逃げ出します。
シルヴェリオは動かなくなっていました。
授賞式が始まり、カミラがステージに立ちました。
ベッドに横たわる自分を囲んでいる家族。
そしてそれを客観的に見ていたシルヴェリオは部屋を出て、広がる大地に出ます。
地面に映った自らの影は大きく長く伸び、はるか遠くまで進んでいきました。